「ガンバ大阪はなぜ天皇杯を制することができなかったのか?」
2024年の天皇杯決勝は、ガンバ大阪とヴィッセル神戸の関西ダービーとなり、多くのファンが注目する中で行われました。結果は0-1で惜敗。ガンバ大阪は準優勝に終わりましたが、試合内容には多くの見どころと成長の兆しが詰まっていました。
本記事では、天皇杯決勝の詳細な試合レポートと共に、ガンバ大阪が見せた可能性や今後の課題についても深掘りしていきます。
準優勝という結果から「何を得て、何を見直すべきか」を明らかにすることで、来季への希望を見出します。
天皇杯2024決勝|ガンバ大阪 vs ヴィッセル神戸の試合結果
2024年11月23日(土,祝)の14:00キックオフにて行われた第104回天皇杯決勝は、ガンバ大阪とヴィッセル神戸による関西ダービーとなり、多くの注目を集めました。試合は緊張感あふれる拮抗した展開となりましたが、後半64分、神戸の宮代大聖選手のゴールが決勝点となり、0-1でガンバ大阪は惜しくも準優勝という結果に終わりました。
最終スコアと得点者一覧
- 試合スコア:ガンバ大阪 0 – 1 ヴィッセル神戸
- 得点者:64分 宮代 大聖(ヴィッセル神戸)
ガンバは前半に主導権を握りながらも、得点に結びつけることができず、後半にワンチャンスを活かされた形で失点。試合全体を通しても拮抗していただけに、悔しさの残る決着となりました。
ガンバ大阪のチャンスシーン
試合後にポヤトス監督のインタビューががありましたが、その言葉通り、前半はガンバが神戸を上回る展開を見せていました。特に、サイドの数的優位を作る戦術が機能し、酒井選手や倉田選手を中心に何度も崩しの形を作ることに成功しました。
最大の決定機は後半のダワン選手によるシュートシーン。ゴール前でのこぼれ球を拾い、鋭い一撃を放つも、惜しくも得点には至らず。その他にも坂本一彩選手のドリブル突破やCKからの混戦など、何度も相手ゴールを脅かしましたが、フィニッシュの精度があと一歩届きませんでした。
試合の決着を分けたワンプレー
試合を決定づけたのは、後半64分のワンプレー。
ヴィッセル神戸は宮代大聖選手を前線に配置転換し、大迫勇也選手を起点とする攻撃に変化を加えました。そしてその変化が功を奏し、ガンバの守備陣のわずかな隙を突いて、宮代選手が冷静にゴールを決めます。
ポヤトス監督もこの場面について「タレント性を持つ選手に、ほんの一瞬でやられてしまった」と振り返っており、試合全体では互角であったものの、勝敗を分けたのは”個の決定力”と”一瞬の精度”だったと読み取れます。
ガンバ大阪のスタメン・フォーメーション(2024年決勝)
2024年11月23日に行われた天皇杯決勝・ヴィッセル神戸戦でのガンバ大阪のスターティングメンバーは、主力選手を中心に構成されたベストメンバーに近い陣容でした。宇佐美貴史選手の欠場という想定外の事態がありながらも、試合序盤は狙い通りの展開を作り出しました。
ガンバ大阪のスターティングメンバー一覧(天皇杯決勝2024)
ガンバ大阪は、4-2-3-1の布陣で試合に臨みました。
- GK:森 純(22)
- DF:福岡 将太(2)、半田 陸(3)、黒川 圭介(4)、中谷 進之介(20/キャプテン)
- MF:山田 康太(9)、倉田 秋(10)、鈴木 徳真(16)、山下 諒也(17)、ダワン(23)
- FW:坂本 一彩(13)
この布陣では、ダワン選手がアンカー的役割を果たし、山田選手・鈴木選手・山下選手が中盤で流動的に動きながら攻撃を組み立てました。トップには坂本一彩選手が入り、前線からのプレスとカウンターに対応しました。
交代選手とその影響
ガンバ大阪は、試合の流れを変えるために計6人の選手交代を行いました。ポヤトス監督は55分という早いタイミングから動きを見せ、積極的に攻撃的カードを投入されました。
交代の詳細
- 55分
倉田 秋 ⬅ OUT
ウェルトン ⬆ IN
→ 前線にスピードとドリブルを加える意図 - 72分 同時交代(3枚替え)
山田 康太 ⬅ OUT
イッサム・ジェバリ ⬆ IN
山下 諒也 ⬅ OUT
ファン・アラーノ ⬆ IN
→ 攻撃枚数を増やし、中央+サイドからの崩しを狙う布陣へ変更 - 89分
黒川 圭介 ⬅ OUT → 岸本 武流 ⬆ IN
鈴木 徳真 ⬅ OUT → 美藤 倫 ⬆ IN
→ 終盤の攻撃&セットプレーに向けてフレッシュな選手を投入
交代策の影響分析
特に注目されたのは、72分の3枚替え。イッサム・ジェバリ、ファン・アラーノといったフィニッシュに絡める選手を同時投入し、攻撃に厚みを持たせました。
しかし、後半のガンバは中盤でのボール供給が滞り、前線までボールが届かない展開が続いたため、交代選手が力を発揮しきれなかったのが実情です。
また、89分の選手交代は、ラストチャンスに向けたセットプレーの可能性や走力の上積みを狙ったものでしたが、決定機に繋がる場面は少なく、結果には直結しませんでした。
ポヤトス監督も試合後に「坂本一彩や山田康太にボールが入らず、流れが悪くなってしまった」と語っており、交代策そのものよりもチーム全体のボール循環と戦術的連携が後半は機能しなかったことが、最大の誤算だったと考えられます。
ヴィッセル神戸との布陣の違い
ヴィッセル神戸のスターティングフォーメーション
GK:前川 黛也(1)
DF:酒井 高徳(24)、マテウス・トゥーレル(3)、山川 哲史(4/キャプテン)、初瀬 亮(19)
MF:扇原 貴宏(6/アンカー)、武藤 嘉紀(11)、井手口 陽介(7)、井出 遥也(18)
FW:宮代 大聖(9)、大迫 勇也(10)
この布陣では、扇原選手がアンカーとして中盤を締め、両サイドのMFがインサイドハーフのような役割を担いながら、FWが流動的にポジションを変えるスタイルでした。
特に注目は、宮代選手・大迫選手の連携と可変性。彼らはポジションチェンジを頻繁に行い、ガンバ守備陣に的を絞らせませんでした。
神戸の交代策と狙いの変化
後半に入ってからの神戸は、試合展開に応じて以下のような交代を実施。
「流れを変える交代」→「守備の安定化」→「時間の消費」という、意図の明確な交代策でした。
- 59分
井出 遥也 ⬅ OUT/佐々木 大樹 ⬆ IN
→ 左サイドにフレッシュな突破力を投入 - 76分
初瀬 亮 ⬅ OUT/本多 勇喜 ⬆ IN
宮代 大聖 ⬅ OUT/ジェアン・パトリッキ ⬆ IN
→ 宮代選手が得点後に下がり、守備強化とカウンター型へシフト - 83分
大迫 勇也 ⬅ OUT/山口 蛍 ⬆ IN
→ キャプテン大迫選手を温存し、ベテランの山口選手で試合を締める布陣へ
これにより神戸は、リードを奪ったあとは守備ブロックをしっかり組みつつ、ロングカウンターで追加点を狙うスタイルに移行。これが結果的に、ガンバの猛攻を封じる形につながりました。
ガンバ大阪の戦いを振り返る|敗戦から見える成長と課題
天皇杯2024決勝は惜しくも準優勝に終わったガンバ大阪。しかし、単なる敗戦ではなく、今シーズンの成長と進化、そして来季への希望を強く感じさせる内容でした。ここでは、敗因の分析とともに、チームの現在地と今後の展望を掘り下げていきます。
なぜ神戸に敗れたのか?展開と戦術を分析
ガンバ大阪は前半こそボール保持とポジショナルプレーで神戸を押し込む場面も多く、特に倉田選手・酒井選手を起点としたサイドでの数的優位が効果的に機能していました。しかし、後半は坂本一彩選手や山田康太選手へのボール供給が減少し、攻撃が停滞。ヴィッセル神戸は宮代大聖選手を中央にシフトさせて攻撃に厚みを持たせ、64分にはその宮代選手が決勝ゴールを記録しました。
ポヤトス監督も「後半は流れが悪く、前線の選手がボールを触る回数が減った」と語っており、試合の展開を変える神戸の柔軟な対応に対して、ガンバの交代策や戦術修正が十分ではなかったことが敗因の一つといえます。
ポジティブな材料も多数!来季への手応え
敗戦の中にも多くの収穫があったのが、この天皇杯決勝の大きなポイントです。特に若手選手の台頭や中谷進之介のリーダーシップは、ガンバの今後にとって明るい材料です。監督自身も「この一年間、見えないところで全員が努力を積み重ねてきた」と述べており、チーム全体としての底上げが進んでいることが分かります。
また、強豪・広島や横浜FMを下して勝ち上がった今大会の戦いぶりは、ガンバ大阪が“勝てるチーム”へと進化しつつある証拠です。ポヤトス監督の戦術が浸透し始め、選手たちも「戦えるチーム」へと成長していることは、来季への大きな追い風になるでしょう。
SNS・ファンの反応まとめ(熱い声援と悔しさ)
試合後、X(旧Twitter)ではガンバ大阪に向けた労いと称賛、そして悔しさの声が数多く投稿されました。
- 「悔しいけど誇りに思う」
- 「ガンバらしい粘り強さが見られた」
- 「宮代の一発は仕方ない」
- 「この経験を来季に活かして!」
など、ファンからは前向きな声が目立ち、選手たちの健闘を称えるムードが支配的でした。
一方で、
- 「後半の交代が遅かったのでは」
- 「ダワンの決定機が惜しかった」
といった、試合展開への冷静な振り返りもあり、クラブとファンがともに課題と成長を共有できる環境が整ってきた印象も受けます。
このような熱量の高いファンの存在は、ガンバ大阪の大きな財産。悔しさの先にある未来へ、共に進む力となるはずです。
まとめ|悔しさを糧に、ガンバ大阪は再び頂点へ
2024年の天皇杯決勝は、ガンバ大阪にとってあと一歩のところでタイトルを逃す非常に悔しい結果となりました。0-1でヴィッセル神戸に敗れ、準優勝という形で幕を閉じたこの試合は、勝利には届かなかったものの、チームとしての成長と可能性を強く印象づける内容でした。
ポヤトス監督が語ったように、ガンバ大阪は今シーズン、サンフレッチェ広島や横浜F・マリノスといった強豪を下して決勝の舞台に立ち、高い組織力と一体感をもって最後まで戦い抜きました。宇佐美選手不在の中でも、若手とベテランが融合し、魂のこもったプレーを見せた選手たちに、多くのファンが胸を打たれたことでしょう。
この敗戦は、確かに悔しさを伴うものでしたが、ガンバ大阪が再びJリーグやカップ戦で頂点を狙えるだけの戦力とスタイルを築いている証でもあります。
今後に向けて、課題を修正し、さらなる強化を図ることで、来季のリベンジに向けた大きな一歩となるはずです。
ガンバ大阪は、ここで終わるチームではありません。悔しさを糧に、再びタイトルを掴むための戦いはすでに始まっています。サポーターと共に歩む挑戦の物語は、これからも続いていきます。